操作論的景観論
「操作論的景観論」とは
景観を人為的に変更し、あるいは保護する、いわば操作対象として景観を扱う。美的観点に立った景観現象の解明や、景観操作の理念や技術の吟味が主眼となる
「土地分類学的景観論」とは
景観の背後の環境システムの保全を重んじる立場。人工的な構造物は自然環境へ影響を与える要因としてのみとらえられ、それ自体の美醜は原則的に問題にされない
操作論的景観論
・構図論
・景観ディスプレイ論
・シークエンス論
・イメージ論
・景観意味論
「景観ディスプレイ論」とは
視点と対象との位置関係に起因する異なった価値意識を把握し、それぞれに固有の議論を分析的に展開する分野
「シークエンス論」とは
視点の移動に伴う景観の変化をあつかう分野
本能的に好まれる景観
・生存に適した環境
・眺望-隠れ場理論
・自分の位置関係が容易に把握できること
・対象が夾雑物に紛れずすっきり見えること
・文化固有の美意識に根ざした様式
眺望-隠れ場理論(by ジェイ・アプルトン)
事実はともあれ生存に適したように見える場合、観察者自らは周囲の視線に無防備にさらされることなく、かつ自らは周囲への眺望が可能な状況を象徴するような空間が美的な評価を受けてきたとする考え
ケヴィン・リンチのいう分かりやすい都市
かならずしも碁盤目状の単純な区画をもっている都市ではなく、印象深いランドマークや河川、広場などさまざまな景観要素が手がかりとなって全体の構造を記憶の中に復元しやすい都市
操作論的景観論の実践的目的
・すぐれた景観の保全
・多数の私権がかかわる空間の景観計画やコントロール
・公共空間や土木構造物の設計に際して、その美的判断と解決策の提示
美学による美の分類
・自然美
・技術美
・芸術美
操作論的景観論のデザインの特徴
・機能性と耐久性を前提とする
・大規模なものが多い
・いったん竣工すれば、容易に取り替えたり移動したりできない
・数十年という長期のデザイン寿命が求められる
・公共性が高く、税金が投入されることもあり、設計者の独善的な美意識に基づいてはいけない
日本の公共空間や構造物にしばしば見られる「装飾」の問題点
装飾が、設計対象の美的長所を強調するのではなく、装飾それ自体の饒舌さによって対象の造形的まずさを粉飾する役割しか担わされていないこと