景観意味論
景観の意味化
古代人が巨樹に神の存在を認めたように、景観が特定の概念と強く結びつけられること
意味化の文化的差異
景観の意味化の枠組は文化によって異なる。たとえば、日本の神社の多くは社殿を森の中に包み隠し、畏れおおいものとして神の存在を強調する。これに対して西欧の教会は、その存在がはっきりと認知できる位置と規模が与えられ、神の崇高さを強調する
時間の意味化
ある空間を一定の時間だけ特定の景観に仕立てることによって、平素とは異なった意味を付与することがある。縁日など
原風景
・感受性豊かな自己形成期を過ごした土地の景観は、心の中に内面化する。普段は心の内奥に沈るが、異郷での生活で鮮明に思い起こされて自己を見つめなおす契機となり、開発による土地の物理的変化には自己の拠りどころを失う思いを伴う
・文明化以前に民族の生存に立ち会っていた環境を、根源的で深層的な共通の原風景に据える考え方もある。山河、野原、海島など自然地形が卓越した景観が、個人的な経験とは別に、暗黙的に原風景として語られる
近代合理主義の課題
日本の文化に根付いていた意味を付与された景観は、近代化以降、合理主義の下に次第に切り捨てられてきた。そのことが人間疎外を引き起こしているという反省もある
日本文化における奧性の例
・神社の本殿
・町家の奥座敷
・武家屋敷の奧向
「ハレとケ」の概念からみた現代都市の混迷
民俗学によると、「ハレ」の非日常性と「ケ」の日常性のバランスにより我々の生活が成り立っている。日常(ケ)は自然色で統一され落ち着いているが、祭(ハレ)になると人工的でよく目につく色彩のノボリなどで華やかにある。しかし現代都市では、年間を通じて多色が氾濫し、ハレとケによる生活のメリハリがなくなっている
「コンテクスチュアリズム」とは
近代建築は緑多き公園に彫刻作品のように置かれたときにもっとも魅力を発揮しうるのであって、現実には古い街並みに無遠慮に割り込んできて全体の雰囲気を損ねたり、近代建築自体も美的効果を発揮できない。建築には、それが建てられる場所や周囲との関連性をもたせることが求められる
景観の仮想行動
・臥遊
・代理自我
・親水象徴
理想郷
・ユートピア(イギリス)
・エルドラド(スペイン)
・アルカディア(ギリシャ)
・桃源郷(中国)
・極楽浄土(インド)
・エデンの園(イスラエル)
・蓬莱山(中国)
・竜宮(日本)
・ニライカナイ(沖縄)
・太陽の都(イタリア)